2024/12/28 18:07

20年にも渡って住み続けた東京を離れ


私が生まれ育った北国の小さな街に移り住むことを決めた時

初めにあったのは希望よりも不安だった。


それはこれまでのお仕事を続けることがおそらく難しい事からくる収入面での不安と

念の為リサーチしてみた様々な就職情報サイト等の掲載情報の圧倒的な少なさから浮かび上がる退屈に対する不安

そして、これまでの生活はもう戻ってこないという半ば諦めにも似た感情。


わからないことに対して物おじせずに立ち向かっていけるメンタルは削られ

どうしていいかわからない恐怖に怯える。

そんな感覚で新幹線に乗った。


だが

そんなつもりで地元に帰ろうと思い立ったわけじゃないことにすぐ気づいたのが幸いだった。

都会だからできることもあれば

当然、地方だからできることもある。

人の少ない、不便な街というものは得てしてあらゆるものが足りていない。

これはチャンスだ。


早速、あらゆるところに顔を出しに行った。

そして、何が足りていなくて、何が求められているのかを調べていった。

様々な環境、文化、人に触れていくと共通して足りていないものがあることに気づいた。

それは、将来に対する希望だった。


どんなに素晴らしい商品を作れる能力を持ち合わせているところでも

「いつまで続けられるかわからないしねぇ。」

そんなことを初対面の私にさらっと言えてしまう。

これはおそらく口癖になっているんだろうな、と直感した。

本当に素晴らしい商品を作っているのにも関わらず、だ。


私は徐々にやるべきことが見えてきた。

彼らの課題は高価値なのに見えない相手との価格競争を始めてしまっていること。

都心では1箱数千円で売られている果物も「地元の人に高いと思われたら売れないから」とほぼ原価に近い数百円で販売している現状。

明確なライバルはいない。

見えない相手と価格競争をしているに等しいと思った。

でも、このせいで地元の消費者はどんどん安いものしか買わなくなるし

利益がないから生産者は経済的に困窮するために

地域の経済活動がゆっくりと沈んでいく。



「適正な価格で流通させること」

我々の活動は、ある種の国内版フェアトレードと言ってもいい。

生産者が希望を持って生産し、地域経済を明るくしていくこと。

そのために、様々な地域に根ざして活動する産業、伝統工芸などに光を当てていきたい。

そんな想いで「le creatif matsupoi japon(クリエイティブで眩しい日本)」は

国内の様々な産業の新たな作品にスポットを当てて紹介していきたいと思っています。